各給湯器の設置費用を比較
次は給湯器によって
設置費用(取り付け工事)は違うのか見ていきます。
ガス給湯器 : 3万~10万円
石油給湯器 : 3万~10万円
灯油給湯器 : 3万~10万円
電気給湯器 : 10万~40万円
電気給湯器の中でもエコキュートの場合は20万円以上かかります。
それ以外の給湯器は設置費用に大きな違いはありません。
工事と本体購入を一緒にお願いすれば、比較的に工事自体の金額も安く抑えられる傾向にあります。
ガス給湯器と石油・灯油給湯器の比較
ガス給湯器は凍結の恐れや煙突などからの吹きこみが無ければ、ガス種によっては比較的手入れがいらないといわれています。
定期的にガス器具の点検が訪れますが、その際に不具合のおそれなども併せて指摘されるため、メンテナンスコストが頻繁なパーツ交換などでかかります。
ガス業者が、お得な取り付けとメンテナンスの一体型パックなどを設置時には用意していることもあり、比較的割安です。
プロパンガスでは配管や設置場所提供をガス業者が行ってくれるため、本体購入もしくはレンタル費用で賄えるものなども豊富となっています。
都市ガスでは、道路にあるガス管から先の配管を行う必要があり、この部分の工事費は通常は建主負担のため高額となります。
本体価格が高い灯油給湯器は、ススが燃料特性のためにたまりがち。
さらに気化燃焼や噴霧を行うものでは、周辺パーツが頻繁に壊れたり、汚れで不具合を起こしがちです。
ですが、費用(点検や分解掃除)が安く設定されています。
こういったところでは、季節による地域ごとの温度帯をよく分析しての選択が必要になります。
ガス給湯器と電気給湯器の比較
電気温水器では、非常にランニングコストがかかる(タンク容量を超える使用)ことから、人数に最適なタンク容量が必要です。
工事費の中でも、床面補強や、設置場所の排水などの配管が必要なのは、電気給湯器の方です。広さ(およそ一畳程度)が必要です。
一般的には給湯室用や洗面台用といわれる小型タンクを備えた電気給湯器は、非常にコンパクトでシンク下に収納できるクラスのものも存在します。
工事は暖房便座並の低予算・短時間で済むタイプもありますが、一般家庭の貯湯量(一日分の風呂や台所全てを賄えるのもの)はあまり見かけません。
また寒冷地などの比較的温度低下が激しいエリアで使用するには、ギリギリの低温となってしまうことから、屋内の凍結のないスペースを確保する必要があり、建物全体のスペース効率がコスト面に大きく跳ね返ることもあります。
またこの場合、本体設置場所と建物各部の配管にも、地域や断熱材によっては電熱線を多く巡らせる必要があり、その分コストがかさみます。
ガス給湯器では直圧式はもちろん、小さなタンクのものも豊富なため、既存の室内の状態にあわせたサイズや給湯能力のものも選べます。
ガスでも電気でも貯湯式の場合、また直圧式でも暖房系統をつけた場合や、給湯器のある位置よりも高いフロアに給湯する場合では、ポンプを各所に取り付ける必要があります。
流行の追い炊きや暖房などの系統、サーモスタットや、暖房機などの設置に伴うポンプなどを各所につけることで、配管自体が高額になります。
石油・灯油給湯器と電気給湯器の比較
寒冷地以外の設置工事費では、圧倒的に電気温水器のほうが安く済みます。
石油給湯器などでは屋外配管やタンク設置、煙突などの確保が必要ですが、壁掛けタイプやバランス釜などでは、壁面に穴を開けて設置するだけ。
地下や屋内設置の貯湯式や給湯能力の高い灯油給湯器の場合、燃料配管以外の配管部分に手間がかかることが有ります。
既に家屋に煙突が無い場合、壁掛や屋外型を選択すれば工事費は安価です。
ですが寒冷地では、落雪による排気不完全などもあるため、こうした部分もあわせて、使用箇所の条件で決定されてしまいます。
また寒冷地の場合、日中に低温となることもあり、配管全体を温めるための工事が必要となることが有ります。
寒冷地向けの保温能力等の特に高いタイプではない電気温水器を寒冷地の気密性の低い住宅に設置する場合、住宅配管の各使用箇所に向けて、断熱や加温昇温機材を追加するケースも。
灯油給湯器と電気給湯器では、実際の湯の利用時の温度がことなることが一般的です。暖地では排気のない電気温水器が経済的。
ですが寒冷地では、そのお宅で使用する時間帯や、一日に使う湯量によって、そして住宅の気密性能や、電気温水器のタンク容量、凍結防止や湯冷め防止のための電気代と機材、設置設備費を合わせて考えれば、灯油が経済的です。
地域の気候や温度帯によって、最適な給湯器の種類は違ってきます。
各給湯器のランニングコストを比較
それぞれのボイラー(給湯器)のランニングコストはどれくらいかかってくるのでしょうか。
ここでは、1年間にかかるランニングコストを計算してみました。
計算するにあたり、
- 1:国土交通省の§5給湯のエネルギー消費量の計算方法から、GJ/年を求め、
- 2:経済産業省のエネルギー使用量(原油換算値)簡易計算表の換算係数から、使用料を逆算して推定しています。
■ガス(都市ガス12A13A 直圧式 従来型)給湯器
ガス瞬間式従来型(都市ガス)
基本料金:745円 単位料金:135円として計算します。
<計算式>
1.36*19.3
=26.248GJ/年
=(二次エネ換算43.5 GJ/千? ※ちなみに東京瓦斯では45 GJ/千m3)603.402m3
=745円×12カ月+135円×603.402?
=90399.31円/年
→都市ガスの場合は、90,399円/年
■ガス(LPガス 直圧式 従来型)給湯器
ガス瞬間式従来型(LPGボンベ)
基本料金:1,823円 従量料金:518円
として計算しています。
<計算式>
1.36*19.3
=26.248GJ/年
=(二次エネ換算50.8 GJ/t)516.6929㎏
=1,823円×12カ月+518円×516.6929㎏
=289522.45円/年
→プロパンガスの場合は、289,522円/年
■灯油給湯器(灯油 貯湯式 従来型)
石油貯湯式従来型 (灯油)
1Lあたり78.28円として計算しています。
<計算式>
1.36*19.3
=26.248GJ/年
=(二次エネ換算36.7 GJ/k?)715.204?
=715.204?×78.28円
=55986.169円/年
灯油(貯湯式)の場合は、55,986円/年
■灯油給湯器(灯油 瞬間式 従来型)
石油瞬間式従来型
(灯油)1Lあたり78.28円
として計算しています。
<計算式>
1.33*19.3
=25.669 GJ/年
=(二次エネ換算36.7 GJ/k?)699.427?
=699.427?×78.28円
=54751.145円/年
灯油(瞬間式)の場合は、54,751円/年
■電気給湯器の場合
電気は 1GJ=277.778kwhより
3.61*19.3
=69.673GJ/年
=(2次エネルギー換算9.97GJ/千kWh)6988.264kWh
=196,715円/年
電気の場合は、196,715円/年
(40A 従B tepco くらしTEPCOより 電気温水器ヒーター式、熱交換、深夜電力オール電化なしのケース。)
と、単純に、一次エネルギー側のガス供給設備なども含めた単価を見ただけでは、灯油に軍配が上がります。
特にガスに関しては、料金の地域格差が都市ガス、LPガス(プロパンガス)ともかなり大きくなっています。
さらに屋外燃料置場設置の灯油やLPガスでは、地域によっては冬期間の除雪作業費などが必要となります。
★検討のポイント★
ご自宅まわりの設場所の条件や、安全性、機材や工事費含めたコストパフォーマンスなど、さまざまな角度から検討してみるのが良いでしょう。
各給湯器の耐用年数を比較
では、それぞれの給湯器の耐用年数はどうなっているのでしょうか。
ここからは、各給湯器を個別に比較していきましょう。
ガス給湯器と石油・灯油給湯器の比較
いずれも特定保守製品のため家庭用10年、業務用3年の設計標準期間が定められています。
灯油給湯器はポット式、気化式、噴霧式がありますが、比較的こまめな清掃と点検が必要といわれる噴霧式はこの中では、短命なようです。
ガスも灯油も長い方では点検を受けながら15年以上も使われる方もあります。
構造が単純なタイプの灯油給湯器の方が長持ちです。
ガス給湯器と電気給湯器の比較
前述のような燃焼部分の構造にもよりますが灯油給湯器は実際には15年程度は使用する方が多いようです。
多機能や特定の製品でなければ、一度設置した後はほぼ点検もなく、故障知らずで使えるといわれる電気給湯器では、パーツの故障がなければ、ほぼ15~20年ほど使用可能。
ですが、腐食などによる劣化があれば、ヒーターやタンク、配管とも交換の可能性があります。
一般的には単純な構造のタイプの灯油給湯器と言いますが、いずれもタンク式では腐食なども多いため、ほぼ互角かもしれません。
石油・灯油給湯器と電気給湯器の比較
法定点検含め、この中ではもっとも点検の頻度が多いガス給湯器は、小さなトラブルにも比較的気づきやすいため、結果として長持ちしやすいといわれています。
ガス給湯器は特定保守製品のため家庭用10年、業務用3年ですが、これよりも長く使う方がほとんど。
ガスの場合15年程度で部品がなくなるため、点検時に入れ替える方が多く、有償点検を受けない方が多く結果として故障まで使い続ける電気給湯器の方が、実際は長く使用される方が多いです。
各給湯器のまとめ
現在は、ガス、電気、石油など、エネルギー各社は、それぞれに非常にお得なサービスプランと機材を多数提供しています。
たとえばガスでも、都市ガスやLPガスを全国的に見渡しても、単価や割引プランは様々です。
同じ燃料でも、ヒートポンプタイプと、直接燃焼させるタイプでは、燃料消費量にはかなりの差が生まれます。
一方で、その作動音や振動になじめないという方もいます。
また、寒冷地などでは、故障の都度、即座に対応できる機材でなければ水道凍結などの低温による事故などの問題にもつながりかねないため、エネルギーバランスや復旧対応力が優先となります。
ただ一つ言えることは、独り暮らしや夫婦だけの世帯などで、あまりお湯や暖房を使わない地域のケースでは、直圧式が燃料代ともにお得といえます。
暖房と兼ねる場合、
- 地域の寒さや住宅の保温性能
- 暖房面積や時間帯
- 確保したい温度帯
- 冬季間の温度差などを考慮して選ぶのがよいでしょう。
そして、現在プロパンガスをお使いの方で、その料金の高さに悩んでいる方は、プロパンガス会社の切り替えを検討してみてもいいかもしれません。
プロパンガスは会社によって料金が違うため、今の料金が適正とは限りません。